私たちは今まで何を食べ、これからの食事はどのようになっていくのでしょうか。
40年ほど前、昭和30~40年代の日本の食卓はもっと質素でした。 朝はご飯と味噌汁、おしんこ、それにたまごがあればたまごかけご飯にするぐらい。夕飯も焼き魚に野菜の煮物などで、肉を食べる機会は今よりずっと少なかったと思います。
その後、生活が欧米化してパンの食事が増え、肉と乳加工品を毎日食べるようになり、豊かな時代を迎えました。しかし、それにともなって成人病や肥満が増えてしまったのです。 工場で大量に作られているものには、当然のように食品添加物が入っています。これらは本当に安全なのでしょうか。 最近はインターネットのおかげで、あぶらののったマグロやブランド牛が直接産地からとりよせられます。うわさのスイーツも、珍味といわれるものも、お金さえあれば自宅で味わえます。
しかしこの「何でも食べられる」状態が、健康にさらなる悪影響を与えているのではないでしょうか。 高いお金を払って農薬の少ない野菜や米、添加物のない食品をもとめる人たちがいます。子供にアトピーや食品アレルギーがあるお母さんは、何を食べさせるか、常に考えています。
食に敏感な人たちはすでに白米オンリーのご飯から、玄米や雑穀、麦などのご飯にシフトしています。私はパートナーが岩手県二戸市の生まれだったおかげで、訪れるたびに野菜直売所で売られている雑穀を目にするようになりました。雑穀は白米にくらべて食物繊維、ミネラルを格段に多くふくんでいます。最近では手軽にご飯に混ぜられるように、小分けのミックス雑穀も店頭に並びはじめました。しかしスーパーなどで出回っているものの多くは、輸入品の雑穀を使っています。 二戸市の雑穀農家は無農薬栽培が基本だそうです。安全で安心して食べられる雑穀なのです。
何十年もかけて日本人の食事は変わってきました。これからは未来の食事を考えていかなくてはなりません。そこに保存がきいて無農薬、ミネラル豊富な雑穀がひとつの重要な食材として加わるのではないかと思うのです。 雑穀は岩手県北部で昔から育てられていた、きび、あわ、ひえなどの穀物です。 この地方は「やませ」と呼ばれる太平洋から吹いてくるしめった冷たい風のために、本来ならば作物が育つ時期に冷害に襲われることが多かったそうです。 しかし先祖代々、そのような環境でも育つきび、あわ、ひえを作り続けてきました。実の部分は人間が食べ、茎は家畜のえさになるので雑穀には無駄な部分がなかったのです。
米がよくとれる秋田県と比べ、岩手県民の脳卒中になる確率は低いそうです。同じように塩分を多くとる東北地方ですが、この差が白米に雑穀を混ぜて食べてきた結果でしょうか。
主な雑穀の成分について、雑穀マスコットが紹介します。
きび
キビと聞くと、 昔話「桃太郎」 のきびだんごが 思いだされます。 キビは五穀のひとつで、甘みとコクがあります。カルシウム、鉄、亜鉛は白米の2倍、マグネシウムは4倍近く含まれています。 | あわ
ほのかな甘みとクセがない味で、アワぜんざいのような甘味に使われています。 カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルとビタミンが豊富です。 | アマランサス
とても小さな粒ですが、ビタミン、ミネラルが非常に多いアマランサス。特にカルシウム量は白米の32倍! マグネシウムと鉄は10倍です。 プチプチした食感を生かしてスパゲッティソースやディップに。 |
ひえ
小さめなクリーム色のヒエは、穀類の中では脂肪が多く、昔は母乳の代わりになったそうです。 オレイン酸、リノール酸を含んでいます。水を多めにして炊けばクリーミーに仕上がります。 | たかきび
赤茶色した大きめの粒、タカキビは別名コーリャン。炊くと弾力があり、ひき肉のようになります。 マグネシウム、カリウム、鉄、亜鉛のほか、脂肪燃焼を助けるナイアシンを多く含みます。食物繊維も多いので、ダイエットの味方です。 | そば米
ゆでるとソバの香りと共に、ホクホク、つるんとした食感が楽しめます。熱か通りやすく、調理しやすい素材です。 ソバには動脈硬化を防ぐルチンという成分が含まれています。 |
はと麦
ミネステローネなどの煮込んで作るスープに入れると、ムチムチした食感がアクセントになります。 美肌効果があるそうで、昔からお茶や漢方薬になったり、化粧品にも使われています。 | 黒米
黒米、赤米は古代米と呼ばれる白米の原種です。黒米の色素はポリフェノールの一種のアントシアニンで、抗酸化作用があります。 白米にほんの少し混ぜただけで、きれいな紫色のご飯が炊けます。 | |
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